診断と治療について
診断時におけるフローチャート
堀内孝彦著「今日の診療サポート」エルゼビア・ジャパン社 より抜粋
突発性(急性)浮腫の鑑別疾患
- アレルギー性血管性浮腫(AllergicAE)*
- 遺伝性血管性浮腫(HAE)
1型:C1インヒビタータンパクの欠損
2型:C1インヒビタータンパクの機能異常
3型:女性に多い、一部に凝固第XII因子の遺伝子異常
- 後天性血管性浮腫(AAE)
- アンギオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫(ACEl-relatedAE)
- 物理的刺激による血管性浮腫(PhysicalAE)**
- 好酸球増多をともなう好酸球性血管性浮腫(Gleich`s syndrome)**
- 特発性血管性浮腫(IdiopathicAE)**
*蕁麻疹をともなう
**蕁麻疹をともなう場合がある
(堀内孝彦 日本医醫事新報 2011)
突発性浮腫の特徴
突発性浮腫(血管性浮腫) | その他の多くの浮腫 | |
---|---|---|
経過 | ・数時間のうちに浮腫が完成 ・3日程度で消失 |
・慢性の経過 |
症状 | ・限局性 ・非対称性(顔を除く) ・指圧痕を残さない ・重力に関係のない場所に生じる ・眼瞼、口唇、咽頭や消化管に生じやすい |
・範囲は広い ・対称性 ・指圧痕を残す |
突発性浮腫の鑑別のための補体検査
C4 | C1INH活性 | C1INH定量 | C1q | |
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HAE 1型 | ↓ | ↓ | ↓ | 正常(or↓)* |
HAE 2型 | ↓ | ↓ | 正常or↑ | 正常 |
HAE 3型 | 正常 | 正常 | 正常 | 正常 |
後天性血管性浮腫 | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
その他の血管性浮腫** | 正常 | 正常 | 正常 | 正常 |
*症例によっては↓、その場合AAEとの鑑別は難しくなる
**アレルギー性血管性浮腫、アンギオテンシン変換酵素阻害薬による血管性浮腫、物理的刺激による血管性浮腫、特発性血管性浮腫
発作時の治療
発作時の治療 | 皮下浮腫 (顔、頚部以外) |
皮下浮腫 (顔、頚部) |
腹痛 | 咽頭浮腫 |
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経過観察 | + | + | + | + |
トラネキサム酸* | + | + | + | + |
C1インヒビター 補充療法** |
+/- | + | + | + |
ICUでの処置 | - | - | - | + |
*トラネキサム酸(トランサミン15mg/kg 4時間毎)
**C1インヒビター補充療法(50kg以下 ベリナートP 500倍、50kg以上 1000~1500倍静注)
1倍とは健康人血漿1mLに相当するC1-インアクチベータ―(=C1インヒビター)活性