一般の方へ

あなたは、まぶたや唇、顔や手足の一部が突然はれて3,4日で治るようなむくみを経験されたことはありませんか。

血縁のどなたかに同じような症状があれば、あなたは遺伝性血管性浮腫(Hereditary angioedema: 略してHAE)の可能性が高いです。また、あなた以外のご家族に症状がなくてもHAEの可能性はあります。HAEであっても個人差があって、はっきり症状が出ない人もいるからです。もしあなたが薬を飲んでいれば、HAEではなくてその薬が原因である場合があります。またはっきりとした原因がなくて突発性浮腫をおこす場合もあります。

あなたが、むくみだけでなく原因のわからないおなかの痛みや息苦しさを時々経験していれば、次の発作では喉頭にむくみがおきて呼吸ができなくなって命にかかわるかもしれません。でも原因をしっかりと明らかにすれば、治療や対策を立てることができるのです。

もしかしたら、あなたはクインケ浮腫と診断されているかもしれません。でもクインケ浮腫は、突発性浮腫を単に別の名前に言い換えただけにすぎません。しばしば、「突発性浮腫=クインケ浮腫=原因不明」と混同されているのは残念なことです。あなたのむくみについて、どうぞ遠慮なく私どもにご相談ください。

むくみ(浮腫)はいろいろな原因で起こります

むくみのイメージ図

むくみは様々な要因で血管の外に水分が漏れ出て、貯留することによって生じます。
健康な皆さんでも、立ち仕事のあと、特に夕方、お酒を飲んだ翌日、妊娠中などにむくみを経験されたことは一度はあると思います。
ここでお話しするのは、こうした健康な方に起こるむくみではなく、体に何か異常があっておきるむくみのお話です。
むくみは、全身的に起きるものと、体の一部だけに局所的におきるものの二つに大きく分かれます。

全身的なもの:慢性に心臓や肝臓、腎臓の病気があると、右の図のように血管から水分が漏れて、次のようなむくみが出ます。
① 経過は慢性的、② むくみの範囲が広く対称性に生じる、③ 皮膚を指で押すとあとが残る

局所的なもの:これも様々な原因で起こりますが、見逃してはならないのは、「HAE (遺伝性血管性浮腫)」とよばれる病気です。他にも「クインケ浮腫」といわれる原因不明の発作性浮腫も局所的なむくみです。

 

 

 

 

 

HAEによるむくみのイメージ図

HAE(遺伝性血管性浮腫)ではブラジキニンという炎症物質ができることにより、血管の壁が弱くなり水分が漏れ出てむくみが生じます。これが全身のいろいろな場所で起こるのです。
一般にかゆみや発赤はありませんが、皮膚に違和感を感じたり、蕁麻疹を伴うこともあります。

HAEのむくみの特徴として、
① 発作性、局所性、非対称性に生じる、
② 数分から数時間で症状が完成する、
③ まぶた、くちびる、喉頭や四肢、消化管に生じやすい、
④ 通常、2~3日で完全に消失する、などがあります。

喉頭にむくみが生じたときは、呼吸困難や窒息を起こし、消化管に生じると激しい腹痛を起こします。

同じような発作性、局所性のむくみでも、遺伝子変異によらない場合と、遺伝子変異によるHAEの場合では、「家族性かどうか」という大きな違いがあります。同じようなむくみを家族にも認めればHAEの可能性が高くなります。ただしHAEであっても家族にむくみを認めないことも時々あるので注意が必要です。

血管性浮腫(クインケ浮腫)と遺伝性血管性浮腫について